研究計画:
自由貿易体制における環境保護政策
----- 中国に対しての影響と対策
一 問題所在:
国際経済の発展が、更なる貿易の自由化とルールの改善につれて、もっと良い貿易環境を形成しました。それに対して、天然資源の枯渇と環境の劣化を軽視してはいけないような問題が引き起こしました。環境の保護および経済発展の関係は持続可能な発展の一つの重要な問題となっています。経済の持続可能な発展を目指す世界はその二つの関係は調和することが極めて重要な課題となっています。
1995年、WTOの貿易と環境に関する委員会(CTE)が設置されました。そして、一国、多国間環境協定(Multilateral Environmental Agreements : MEAs)、OECD各国は様々な環境ルールが作成しました。それらの環境政策は、環境保護の役割を考える一方、自由貿易の制限する方法の一つと考えされました。貿易は自由かつ公正な競争の条件の下で行われるべきであると思います。でも、環境保護を理由として貿易の制限することは自由貿易の障壁になると考えています。それらの問題に対して、新し貿易争論が起こしました。
例えば: 貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)では、先進国は国際規格を用いることとされており、環境に関連した製品規格もこのルールに従うこととなる。でも、各国の環境の状況や発展段階等に応じて異なりうるものである。先進国が途上国に対して一方的に高い環境基準を強制することは不適当であると考えています。そして、そのような環境基準は非関税障壁として視される。
二 研究現況:
1:貿易が環境に及ぼす影響について
(1)商品取引に直接伴う影響
商品取引に直接伴う環境へのマイナスの影響としては、有害廃棄物や有害化学品などの環境汚染物質が取引される際に起こす環境問題。例えば、タンカーからの原油流出等不慮の事故が起きた場合における深刻な環境汚染が挙げられる。また、絶滅の恐れがある野生生物及びそれらの野生生物からつくられる製品も国際的に取引されている。さらに、世界的な熱帯林の減少については、統計上、熱帯木材生産全体のうち国際貿易に入る割合はそれほど高くはなく、しかし、熱帯木材の貿易は、場合によっては熱帯林の減少に密接な関係があると考えています。
他方、環境へのプラスの影響としては、環境保全型の技術や環境保全型製品の取引があげられる。これらの技術や製品の普及をもたらす上で貿易は大きな役割を果たし、環境の保全に寄与し得ることと考えています。
(2)貿易規模の拡大による影響
貿易を通じた所得の増加は、一方で、特に開発途上国において、環境保全のための資金的精神的余裕を生み、環境改善効果をもたらしうるとの研究結果がある。また、所得の増加は貧困、人口増加、環境破壊の悪循環を断ち切るとの観点からも必要である。他方、貿易の拡大は環境資源の使用を地球大に拡大し、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会活動を促進させるとの見方がある。
貿易規模の拡大は、また、輸送部門からの環境負荷を増大させる要因となる。ECのタスクフォースは域内市場の統合により、SO2及びNOxの排出量が2010年までに現在のレベルより8~9%増加すると予測しているが、その主要部分は輸送部門からの排出によるとしている。
2:環境と貿易の基本的関係について
一般的に貿易は、比較優位の原則に従って、それぞれの国が他国より有利に生産できるものをより多く生産・輸出し、他国より非効率的な分野の生産を縮小・輸入することにより、最適地に最適規模の生産を配分し、世界的に効率的に生産を進める上で大きな役割を有するとされる。ところが現実には、これまで見てきたように、貿易が環境破壊をもたらし、それを助長している場合がある。その要因は経済学的に見ると、天然資源の利用、環境汚染防止等の環境コストが商品やサービスの市場価格に適切に反映されないままに取引が行われ、不適切な環境利用が促進されることにあると考えています。
その問題を解決するため、各国政府は経済的な手法を活用、環境コストの内部化を目指した環境政策を作りました。環境コストの内部化が不十分な現状の下での「競争力」を変更する可能性があるものとして、自由貿易に対する障害として誤ってとらえられる場合があると考えています。
これ以上の問題について、国際的な検討の方向は、環境保全と貿易が相互に及ぼす影響を分析しつつ、持続可能な開発の実現に向け、いかに環境政策と貿易政策を相互支持的なものとしていくかに向けられている。貿易の環境へのマイナスの影響を最小にし、プラスの影響を最大にするために必要な環境政策のあり方、及び環境政策上の要請と自由貿易の要請が衝突する場合の調整が課題である。私は、それらの問題から始めて、自分の研究分野を進めていこうと考えています。
三 研究の目的と意義:
世界の貿易数量は1970年~2004年の間に3倍以上強に増加するなど、世界経済は国際貿易を通じてますますそのつながりを強めている。他方、この間に、環境問題もまた、地球規模の空間的広がりと将来世代にわたる時間的広がりを見せるに至っている。このような状況の下、貿易拡大及びそれに伴う経済発展が環境に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念が生じる一方、各国の環境政策が自由貿易を阻害するのではないかとの懸念も強まってきており、環境政策と貿易政策との調和が大きな課題となってきている。
その問題については、環境を重視したルール作りを主張する欧州連合(EU)と、環境保護を理由とする貿易制限が保護主義の隠れ蓑となることを懸念する開発途上国等の間で意見が異なっている。データによると5000種類の製品の中で、4000以上、そして、世界の貿易数量の15%は環境保護政策の影響を受けました。(Ulrich Hoffmann「Environmental Requirements and International Trade」2003による)。環境と貿易を巡る問題は、大きな経済活動を営み、輸入、輸出の両面で貿易に大きく依存する中国経済の発展にとって、とりわけ具体的な意味を持つ重要な問題であると考えています。そして、環境保護政策が、すでに、中国の紡織、機電、食品等の業界の対外貿易は大きな影響を及ぶしました。持続可能な発展は実現を目指す中国として、環境保護政策と貿易についての問題は避けばない問題になっている。私は、それらの問題を研究を深めながら、解決方法を見つけるように努力進めていこうと考えています。
四: 先行研究
1 環境と貿易の相互支持化に向けた国際機関
(1) GATT/WTOに関する環境政策
WTO設立協定では「持続可能な開発の目的に従って世界の資源を最も適当な形で利用」することとされた。また、組織面では、新たに設立されたWTOの下に「貿易と環境に関する委員会」が1995年1月の第1回WTO協定一般理事会において設置された。今後、多角的貿易制度に関する規定の改正も含め検討が行われていくこととなる。また、ウルグァイ・ラウンドで合意・改訂された「貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)」等においても、一定の条件の下、環境保全のために必要な措置がとり得ること、例外的措置が認められること等の規定が置かれている。
(2) 経済協力開発機構(OECD) に関する環境規則
OECDでは、従来より、「汚染者負担の原則(PPP)」等、環境と貿易に関連する基本的な考え方を示してきたところであるが、1993年6月には、「貿易政策と環境政策の統合のための手続に関するガイドライン」がまとめられ、閣僚理事会で承認された。OECDでの検討は、WTO等における検討の重要なバックグラウンドとなっていくものと考えられる。それを関する規則は途上国の対外貿易はに大きな影響が与えると考えています。
(3) その他の国際機関等による環境政策
環境と貿易を巡る問題については、GATT/WTO及びOECD以外の国際機関等でもそれぞれの立場から積極的な取組が行われるようになってきている。
国連持続可能な開発委員会(CSD)では、1992年のUNCEDで採択された「環境と開発に関するリオ宣言」及び「アジェンダ21」で環境と貿易に関する国際的な基本認識が示されたことを受け、1994年の第2回会合では環境と貿易の問題についても検討がなされ、「貿易、環境及び持続可能な開発」に関する決定がなされた。
国連環境計画(UNEP)及び国連貿易開発会議(UNCTAD)は、1994年2月及び11月に、「貿易と環境に関する非公式ハイレベル会合」を共催している。また、UNCTADにおいては、「貿易、環境及び開発に関するアドホック作業部会」を1994年5月に新たに設け、主に開発途上国の市場アクセスの改善の観点から、環境ラベリングや環境保全型商品について検討を進めている。
国際標準化機構(ISO)は、国際規格の標準化を通じ、物やサービスの貿易を容易にすることを目的に設立された非政府間機関であるが、1993年からは、環境管理に関する規格制定のための専門委員会(TC207)を設けて作業を行っている。事実上の国際標準として機能することから、環境と貿易という観点からは、手続面での国際的な調和を進める具体的な動きとして注目される。
この他、WWF(世界自然保護基金)等の環境NGOも環境と貿易を巡る議論の一翼を担っている。NGOの主張は多岐にわたるが、大まかにいって、環境コストの内部化の促進、貿易政策に対する環境面からの影響評価の実施、効果的な多国間環境協定が存在しない場合における一方的貿易措置の実施、生産工程の違いによる類似の産品の差別的取り扱いの承認、環境と貿易に関する検討の場(紛争処理過程を含む)へのNGOの参加の確保、南北間の公正な交易関係の構築等を含んでいる。
2 環境政策と貿易ルール
(1) 多国間環境協定における貿易措置と貿易ルール
(2) PPM規制と貿易
「PPM( Processesand Production Methods:生産工程及び生産方法)規制」とは、具体的には例えば、オゾン層破壊の原因物質であるCFCで洗浄されたコンピュータチップ、持続可能でない森林経営の下で生産された木材、イルカを混獲して捕獲したマグロ等、環境保全的でない生産方法で生産された製品を規制の対象とするものである。
(3) 貿易に影響を及ぼしうる環境保全上の措置
具体的な環境措置として、環境ラベリング、包装・リサイクル規制、税・課徴金等の経済的手法について研究進めていこうと考えています。
(4) NAFTAにおける環境規定
1992年2月に成立した北米自由貿易協定(NAFTA)及びその環境補完協定は地域的な自由貿易の推進と環境保全との間の相互支持的な関係を生み出すための試みとして注目される。NAFTAでは、環境重視の立場から、いくつかの面でGATTルールよりも踏み込んだ規定を設けていると考えています。
それ以上の環境保護と貿易に間する問題は先行研究として、しっかり勉強して、理解を深めて、自分の研究を進めていこうと考えいます。
五 研究方法:
国際貿易と環境の関係を中心として、いろいろな研究を行なわれる。例えば、自由貿易体制と環境保護政策の対立の調整、環境保護政策は貿易にとって具体的なの影響など、それは、経済の発展と大きな繋がりある問題を解決しなければならないと考えています。私はまず、環境と貿易を巡って問題点から、環境と貿易の基本的な関係について研究を進めて、そして、環境政策と貿易政策を適切に統合することにより、環境保全と貿易の進展が共に矛盾することなく、むしろ相互支持化に向けた取組を、国際機関等による取組、環境政策と貿易ルールの調整という点から見た上で、中国はどのような貿易ルールと環境ルールは調整すれば、持続可能な発展は実現になることについて研究を進めていこうと考えています。具体的な問題は次のように:
1)環境と貿易間の紛争する実例から始める、環境政策は貿易に対する具体的な影響分析の理解を深めて、理論的な分析で研究を進めていこうと考えています。例えば:エビ・カメケース。これは、米国が、カメの混獲を防止する装置を使用せずに捕獲されたエビの輸入を禁止したことに対し、エビの輸出国がWTOルールに反するとして紛争解決手続に訴えた事例です。その件について、原因と結論を理解深めて、更に、自分がその紛争についての考えをもって、研究を進めたいと考えております。
2)環境保護政策の実施は各国の貿易数量に対しての影響について、テータを集めて、統計の方法で定量的な研究を進めたいと考えています。
3)環境保護に関する協定(一国の環境保護政策、多国間環境協定MEAs)など、環境に間する具体的な規則の理解を深めて、中国の対外貿易の影響が探していこうと考えています。
4) それに関する問題を理解を深めながら、自分の観点整理して、以降の論文やレボートにおける土台作りをしっかりさせておきたい。
五: 参考文献
一:著書
英語:
《Global agricultural policy reform and trade : environmental gains and losses》/ Cooper, Joseph
《Carving out a future : forests, livelihoods and the international woodcarving trade》/ Cunningham, Anthony.
《Human and environmental security : an agenda for change》 Dodds, Felix.
《Trade and environment : theory and policy in the context of EU enlargement and economic transit》 Maxwell, John W.
《The WTO, trade, and the environment》/ Whalley.
日本語:
《アジアにおける環境政策と社会変動 : 産業化・民主化・グローバル化》寺尾 忠能
中国語:
[1] 戴维 皮尔斯/杰瑞米 沃福德: 《世界无末日——经济学,环境与可持续发展》
中国财经出版社 1996年
[2] 经济合作与发展组织:《环境经济手段指南》 中国环境科学出版社 2004年
[3] 阿兰·兰德尔:《资源经济学》 商务印刷馆 2000年
[4] 历以宁:《环境经济学》 中国计划出版社 1996年
[5] 陈耀邦:《可持续发展读本》 中国计划出版社 1998年
[6] 霍斯特 西伯特 《环境经济学》 中国林业出版社 2002年
[7] 陈卫东:《WTO例外条款读解》 对外经济贸易大学出版社 2004年
[8] 谈世中:《经济全求化与发展中国家》 社会科学院文献出版社 2002年
[9] Tom Tie berg 《环境经济学与政策》 上海财经大学出版社 2003年
[10] Thomas Andersson 《环境与贸易:生态、经济、体制和政策》
清华大学出版社 1998年
二 定期刊物:
中国語:
1傅京燕:《WTO框架下德贸易与环境问题》 世界贸易组织动态与研究 2003年第5期
2潘申彪:《绿色壁垒与循环经济》 世界贸易组织动态与研究 2005年第2期
3杨 鸿:《PPMs问题的发展轨迹》 世界贸易组织动态与研究 2005年第11期
4林云华:《MEAs与WTO潜在冲突能化解吗?》 时代经贸 2005年第5期
三:ウェブサイト
http://www.oecd.org
http://www.UNCTAD.org
http://www.env.go.jp/
http://www.mofa.go.jp/
四 Report:
中国語:
联合国贸易和发展会议贸易和发展理事会 2002年 《环境要求和国际贸易》
联合国贸易和发展会议贸易和发展理事会 2003年 《环境要求与国际贸易问题》
中国环境与发展环境课题组 2004年 《多哈回合与环境谈判支持研究》
合组织贸易与环境兰和工程组报告 2005年 《从发展的角度看贸易与环境》
日本語:
WTO協定から見た主要国の貿易政策 不公正貿易報告書. 2004年版
「開発と環境」の政策過程とダイナミズム アジア経済研究所
英 語:
OECD: “Environmental Goods and Services: An Assessment of the Environmental Economic and Development Benefits of Further Global Trade Liberalization” 2000
OECD: “The Development Dimension of Trade and Environment:
Case studies on Environmental Requirement and Market Access 2002
Case studies on Environmental Requirement and Market Access 2003
Lessons from the OECD Case Studies 2004
UNCTAD: Environmental Requirements and Market Access for Developing Countries 2004
UNCTAD: Trade Environment and Development 2005
日本語の文献について、中国は少ないですが、もし、日本へ留学ことができれば、改めて整理すると考えています。
以上