中国人日本語学習者の婉曲表現の使用に関する研究
―「依頼」に対する中上級者の「断り」において―
第1章
序論
1.0 はじめに
1.1 研究の動機
1.2 研究の目的
第2章
v 先行研究
2.1 「婉曲表現」について
2.2 「断り」に関する先行研究
2.3 「依頼」に関する先行研究

第3章 学習について
3.1 教科書について
3.1.1 「断り」の対象なる行為要求の種類について
3.1.2 「断り」の種類について
3.1.3 「断り」の出現状況について
3.2 シラバスについて
3.2.1 みんなの日本語
3.2.2 大学日本語(中国版)
第4章
使用について
4.1 データの収集方法
4.1.1 アンケートの回答者について
4.1.2 アンケート作成について
4.2 分析方法
4.3 分析結果
4.3.1 日本語母語話者について
4.3.2 中国人日本語学習者について
4.3.3 アンケートの分析とまとめ
第5章 まとめ
5.1 本研究のまとめ
5.2 問題点
5.3 今後の課題

おわりに
参考文献
付録資料
キーワード: 婉曲表現 依頼 断り
1. 問題提起
日本語の婉曲表現は一般に中国人の日本語学習者にとって難しい。その要因の一つは言語と文化、価値感といったものが深く関わっていることと考える。
筆者は日常生活、学校、職場などの人々との付き合って、依頼を受けても断わらなければならないことが常にある。しかし、婉曲的な断りを上手に使い、日本人との人間関係を上手に処理している日本語学習者は少ないだろう。場面、相手、依頼内容などによって、断り表現がさまざまあって、その断り表現によって誤解や障害また、不満を生じることも多い。しかし、中国人日本語学習者の婉曲表現の使用に関する研究は少ないし、特に、「依頼」に対する中上級者の「断り」を中心とする研究は殆どない。
本稿では、中上級レベルの学習者向きの教科書を分析し、また中国在住の学習者と日本滞在の学習者の婉曲表現の使用実態を調査し、この問題の解決方法を解明しようとする。
2.先行研究
2.1日本側の研究
言葉は文化のキャリヤーとして人間の思想や感情を伝えるとよく言われている。とくに、日本語には多くの婉曲表現が存在している。まず、婉曲表現についての先行研究はどんなものがあるか、次に依頼表現、断り表現に言及する研究を纏めてみよう。
田中(1987)は,「言う方は遠回し言い、言われた方は(あるいは言われなくとも)その真意を察するというコミュニケーションの形は、日本人の日常にはよくあることである。時には、言われたこととは反対の意味を汲み取るべきこともある。」と述べている。
角谷(1996)は、「単一民族に属する日本語コミュニケーションは、同じコンテクストを共有しているという安心感から、おのずと「言わなくてもわかる」、「以心伝心」的なものとなる」と述べている。日本人の言語表現や行動模様様式の曖昧さは、ほかにも多くの研究によって指摘されている。
板谷(1996)は、「婉曲表現の特徴は、人に何かを頼んだり断ったりする時によく現れると」述べている。
なぜ、「依頼」に対する「断り」にしたのかという理由であるが、何か頼まれた時、人は面倒くさいなと思う気持ちと共に相手の望みを叶えたいという気持ちが生まれるものだ。
『日本語表現・文型事典』(2002)によると「婉曲表現」とは「直接的な物言い、露骨な物言いを避けて、遠まわしに和らげる表現」と定義している。
国立国語研究所(1994)は、「依頼は相手の好意に期待して行為を行うよう求める談話。相手に対する強制力がなく、指示に比べてはるかに慎重に行うべき行為要求である」と定義してある。
板谷(1996)は「社会において人間関係を円滑に行うために、物事をそのままあからさまに言うのではなく「婉曲」に表現するには、日本語も英語も同じである」と述べている。板谷は、論文「日本語と英語における婉曲表現の対照研究-A Contrastive Study Of Japanese and English Indirectness」で婉曲表現の特徴をよく現している「依頼」と「断り」について、日本語と英語の共通点と相違点を考察し、両者の表現の源になっている発想までさかのぼって分析している。
先行研究得找到相关书籍,再补充,论据不充分,无法说出自己论文的研究意义。
2.2中国側の研究
这部分需要找,如果日文资料多的话,也可以不用。
2.3先行研究から得たヒント及び本論文のオリジナリティー
本研究はいままでの先行研究を踏まえて、主に下記の3つの面から婉曲表現について考察していく。1、中国で使用されている日本語教材の分析。2、中国人日本語学習者(本稿では「学習者」と略する)のアンケートによる婉曲表現の使用状況。3.1と2の対照分析。
論文の中にはまず中国で使用されている日本語教材に着目して、中国人の日本語学習者にアンケートをして、その結果を分析して、婉曲表現の具体的な使用状況を究明してみよう。
3.論文構成
本論文の序論では、まず、本稿のテーマーの研究動機と研究目的を説明する。
第二章では、先行研究の内容と研究方法をまとめる。最後、先行研究の不足点を指摘し、本稿のオリジナリティーを述べる。
第三章では、中国人日本語学習者の使っている教科書を通じて、「断り」に関する表現をまとめ、教科書は中国人日本語学習者への影響を考察する。
第四章では、日本在住の中国人日本語学習者15名と中国在住の中国人日本語学習者15名の男女問わず日本語中上級者を中心に今回研究の対象者として、 「依頼」に対する中上級者の「断り」について分析して、両者回答の違いを探索してみる。
第五章では、本稿の内容をまとめる。そして、これからの研究課題を提出する。
4.参考文献
1. ――――(1997) 「日本語学習者にみられる「断り」の表現-日本語母語話者と比べて-」『世界の日本語教育』7 国際交流基金日本語国際センター pp.97-112
2. 熊井浩子(1992a) 「外国人の待遇行動の分析(1)-断り行動を中心にして-」 『静岡大学教養部研究報告人文・社会科学編』28-1 静岡大学教養部 pp.1-44
3. ――――(1992b) 「外国人の待遇行動の分析(2)-断り行動を中心にして-」 『静岡大学教養部研究報告人文・社会科学編』28-2 pp.1-40
4. 鮫島重喜(1998) 「コミュニケーションタスクにおける日本語学習者の定型表現・文末表現の習得過程 中国語話者の「依頼」 「断り」 「謝罪」の場合」 『日本語教育』98 日本語教育学会 pp.73-84
5. 施信余(2004) 「依頼に対する「断り」の言語行動について-日本人と台湾人の大学生の比較-」 『早稲田大学日本語教育研究』6 pp.45-61
6. 藤巻和代(1996) 「中国語話者と日本人の日本語による『誤解』-断りの表現を中心に-」『言語科学研究:神田外語大学大学院紀要』2 神田外語大学 pp.143-156
7. 邱利華(2000) 「日本語母語話者と中国人日本語学習者の「断り」の対照研究」 『比較社会文化研究』8 社会文化学 pp.57-76
参考文献 自己再增加些日文书籍 不能全是论文
第3章 学習について
3.1 教科書について
日本語に関わらず、言語を学習する人の大半は教科書というものを使用するであろう。よって、教科書というのは学習者にとって欠かすことができないものであり、その影響力も大きいと思われる。
今回調査対象となる中国人日本語学習者がよく使用される教科書は、日本語会話、みんなの日本語、標準日本語、大学生日本語などがある。
書く教科書の特徴として、
・日本語会話 (初・中級向け)
・みんなの日本語 (初級向け)
・標準日本語 (中・上級向け)
・大学生日本語 (中級向け)
4. データの収集方法
データの収集方法は「談話完成テスト」式のアンケートの方法を用いた。日本語の婉曲表現に関する研究であるため回答は全て日本語で行ってもらった。
調査は2011年8月から2011年10月までである。
5.1アンケートの回答者について
調査の対象としては、日本在住の中国人日本語学習者15名と中国在住の中国人日本語学習者15名の男女問わず学生を中心に今回研究の対象者とする。
中国在住の中国人学習者はすべて吉林省のY大学の学生である。
中国人日本語学習者における対象者は、日本語中上級者を対象とする。その中上級者と定めるものとして、日本語能力試験1.2級有資格者を中上級者とする。(または、それに準ずるものも含めたいと思う。)
4.1.2 アンケート作成について
断り表現は場面、相手、依頼内容などによって断るので、今回実施したアンケートでも4つの場面を設定し、それぞれ「目上」、「同等」、「目下」、「先輩」、「後輩」などに分け、すべての状況で「断る」ことを前提とし調査を行った。
4.2 分析方法
本研究では主に「婉曲的(間接的な)断り表現」を研究するため、アンケートの回答を荒巻(1990)の定義により、「直接的な断り表現」と「婉曲的な断り表現」に分類した。
その上で、「婉曲的な断り表現」に焦点を絞り、日本在住の中国人日本語学習者と中国在住の中国人日本語学習者との相違点が出るかを探ることにする。
4.3 分析結果
今回行ったアンケートの回答数を被験者別にしてみると日本在住の学習者と中国在住の学習者の回答数がそれぞれ150回である。上述断りの発話の中で「婉曲的な断り表現」の使用状況は日本在住の学習者は109回で割合は72.7%、中国在住の学習者は128回で割合は85.3%である。使用回数を「直接的な断り表現」と「婉曲的な断り表現」で分類し、表示したのが【表4-1】であり、割合を表示したのが【図4-1】である。
以下よりの表と図では日本在住の中国人日本語学習者をJC、中国在住の中国人日本語学習者をCCと略する。
【表4-1】「直接的な断り表現」と「婉曲的な断り表現」の使用回数【回】
|
直接的な断り表現 |
婉曲的な断り表現 |
JC 150 |
41(27.3%) |
109(72.7%) |
CC 150 |
22(14.7%) |
128(85.3%) |

【図4-1】
【表4-1】と【図4-1】から読み取れることは次の通りである。
1) 日本在住の学習者のほうが中国在住の学習者より「婉曲的な断り表現」の使用頻度が低い。
2) 日本在住の学習者のほうが中国在住の学習者より「直接的な断り表現」の使用頻度が約2倍高い。
まとめてみると断る際、中国在住の学習者のほうが日本在住の学習より婉曲的な断り表現を使うことがわかる。
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【表4-1】からみると