総合科学専攻における卒業論文(ミニ卒論)の書き方
(注意)研究室によって他の形式を定めている場合もあるので,執筆にあたっては指導教員の指導を必ず受けること.
なお,以下の□はチェック欄である.この文書をチェックリストとして用い,論文の提出前に自分でチェックすること.
論文の書式
□ 論文は単なる資料集ではなく,読み物である.第三者が最初から読み下して,明瞭に理解できるものでなければならない.図表だけで本文がほとんどないものは,論文とは言えない.
□ A4サイズ横書き.余白は上下25mm,左右20mmくらいが基本.
□ ワープロ書きが基本.図もスケッチなど手書きでなければ困難なもの以外は,すべて電子的に描いたものを用いる.
□ 本文のフォントサイズは10.5ポイントが基本.図・表・写真の説明文および引用文献リストは10ポイントとして若干サイズを落とす.
□ 見出しの文字はゴシック体.その他の本文などは明朝体.
□ 論文の章立てを明確に構成し,適切な章タイトル,小見出しをつける(3ページの目次例参照).
□ 過去の研究成果を引用する際には,定まった形式に従う(6ページと14ページを参照).
□ 図・表・写真は本文中に定まった形式でレイアウトする.ただし,分量の多いものについては付図・付表などとして論文の最後に一括する(9ページと15ページを参照).小見出しの後は必ず本文で始まり,いきなり図表が来ることはありえない.
明解な論理展開・語法で
このことは言うまでもないことであるが,初学者には意外と難しい点でもある.最低限,以下のことに気を配る.
□ 事実と意見を区別して書く.
□ できる限り,客観的に書く.無意味な強調や,主観的・情緒的な表現を用いない.主観的な形容詞の代りに,できる限り数値を用いて書く.
□ 主語と述語の対応に気を配る.ひとつの文の中に主語を2つ置かない.
□ 形容詞がどこの語に係るかに常に気を配り,2通り以上の解釈ができないようにする.
□ できる限り短い文で明確に書く.冗長な箇所は徹底的に削る.
□ 段落の最初にもっとも重要な文(キーセンテンス)を置く.キーセンテンスだけを取り出すだけで,全体の要約になるような形が望ましい.
以下の本を,なるべく早い機会に読んでおくこと.
「理科系の作文技術」 木下是雄(1981) 中公新書 700円
:論理的かつ明解な日本語を書くための入門書.日本の多くの科学者・技術者の座右の書となっている.自分が今までいかに稚拙な文章を書いていたかを思い知らされる.レポートや卒論を書く上で必須.
指導教員によるチェックと手直し
□ 論文の完成前に,必ず指導教員のチェックを受け,手直しをすること.
提出部数
□ 指導教員に1部(2部以上の所定部数を定めている研究室もある).このほか自分用にコピーを1部用意するのが普通.
提出フォーマット
□ レーザープリンタ等の仕上げの美しいプリンタでプリントアウトしたものを製本または簡易製本する.製本しない場合もバインダ等にはさんで提出する.
□ この他,研究室によっては電子媒体(CDメディア等)による原稿・実験データ・パワーポイントファイルの提出を義務づけている場合があるので,不備のないように注意する.
提出〆切・提出場所
□ 教室代表からメールで指示がなされるので,それに従うこと.
提出後の手直し
□ 論文提出後に,指導教員以外の教員の査読を受け,修正指示がなされる.それに従った手直しをおこない,指導教員のOKが出た時点でようやく完成となる.
著作権に関する注意
□ 論文の著作権は,通常は執筆者と指導教員に属する.ただし,引用した文章や図表については,この限りではない.引用は著作権法で認められている範囲にとどめる.無意味な長文引用は,引用ではなく転載にあたり,著作権法に触れるので注意が必要である.他人の図や写真の引用については,原則として著作権者の許可が必要である.
なお,卒業論文(ミニ卒論)は未公表資料として取り扱われるため,他人の閲覧や複製・引用に際しては,本人以外に必ず指導教員の許可が必要である.
論文構成・書式の細部に関する説明と作業用テンプレート
次ページ以降に,論文構成と書式の一例と細部についての説明を示す.執筆の参考にするとともに,執筆の際のテンプレート書式として用いることもできる.
20XX年度 静岡大学教育学部総合科学専攻卒業論文(ミニ卒論)
論文タイトル1行目
タイトル2行目(副題など)
学籍番号
名前
英文タイトル
英文タイトル2行目(副題など)
英文著者名
(本テンプレートは,標準的な科学論文構成・書式の一例を示したものである.研究室によって他の構成・書式を定めている場合もあるので,執筆にあたっては指導教員の指導を必ず受けること.)
目 次 の 例
要旨..............................................ページ番号
1. 研究目的...................................ページ番号
2. 研究方法...................................ページ番号
2-1.○○○○...................................ページ番号
2-2.○○○○...................................ページ番号
(1) ○○○○...................................ページ番号
(2) ○○○○...................................ページ番号
3. 結果.......................................ページ番号
3-1.○○○○...................................ページ番号
(1) ○○○○...................................ページ番号
(2) ○○○○...................................ページ番号
3-2.○○○○...................................ページ番号
(1) ○○○○...................................ページ番号
(2) ○○○○...................................ページ番号
(3) ○○○○...................................ページ番号
4. 考察.......................................ページ番号
4-1.○○○○...................................ページ番号
(1) ○○○○...................................ページ番号
(2) ○○○○...................................ページ番号
4-2.○○○○...................................ページ番号
5. 結論.......................................ページ番号
6. 今後の課題...........,.....................ページ番号
謝辞.............................................ページ番号
引用文献.........................................ページ番号
小見出しがある場合は,それらもすべて書き出してページ番号を示す.
この後,同じ形式で次の目次もつけることが望ましい.
図の目次
表の目次
付図・付表の目次
要旨
発表の時に作成した和文要旨をベースとして,その後の成果を加えて10〜20行くらいで書く.研究室によっては英文要旨が必要な場合もある.
見出しの文字は,上のように必ずゴシック体にする.その他の本文などは明朝体.
ここに限らず,本文のフォントサイズは10.5ポイントが基本.図・表・写真の説明文および引用文献リストは10ポイントとして若干サイズを落とす.
1.研究目的(はじめに,緒言,などのタイトルでもよい)
研究の意義,目的などを,研究史も絡めて書く.場合によっては,研究史を別の章に立てるやり方もある.いずれにしても,あまりだらだらと書かずに,簡潔明瞭に述べる.
次の章にいくときは,必ず改ページする.
(注)過去の研究成果を引用する形式について
たとえば以下のような形式をとる場合がある.
・小山(2002)は,○○に対して××の分析をし,□□の成果を得た.
・○○に対しては,××の分析がなされえおり,□□の成果が得られている(小山ほか,1997).
上で,小山(2002)や小山ほか(1997)は,論文をさす.カッコ内は論文の出版年.末尾に引用文献リストとしてまとめる.
このほか,()をつけた通し番号で引用文献をつける形式もある.通し番号は,出てくる順番だけでなく,掲載年代順や,著者の姓のアルファベット順にする場合もある.
どのような引用形式をとるかは,必ず指導教員に尋ねた上で,執筆を始めること.
なお,通常の科学論文では,「参考文献」のようなあいまいな書き方はしない.文献リストに掲載された論文は,必ず本文中で引用するのが原則である.
2.研究方法(研究手段,対象など,自分の判断でタイトルを変えてもよい)
2-1.方法
2-2.対象
などのように,必要に応じて小見出しを設けてもよい.
3.結果
研究結果を記述する.小見出しの形式は以下のようにする.
3-1.
(1)
(2)
3-2.
(1)
(a)
(b)
(2)
図・表・写真は,以下に示すように,それぞれにゴシック体の番号をふって,必ず説明書きを書く.図と表と写真は区別して,図3−1,表3−4,写真3−2のように,章ごとに番号をふる.アンケート用紙のようなものは,別紙3-1,のようにして改ページして載せる.図・表・写真は,必ず本文内にレイアウトする.つまり,小見出しの後は必ず本文で始め,その中に図表がはさまる.小見出しの後に,いきなり図表が来ることはありえないので気をつけること.ただし,分量の多いもの(測定の生データやプログラムコードなど)については付図あるいは付表として論文の最後に一括する(複数ある場合は番号をふる).
図や写真の表題は下に,表の表題は上に書く.図表の中に*印などをつけて注記を書く場合は,図・表ともに下に書く.
表3−1.表のタイトルと,表の読み方.

*注記を書く場合はここに書く.

図3−1.図のタイトルと図の読み方.図の凡例はなるべく図中に
描く方がよいが,含めきれないものについてはここで説明する.
4.考察
研究結果について,さまざまな考察を加える.
4−1.
4−2.
のように小見出しの付け方は他の章と同じ.
5.結論
その研究で判ったことを,通常は箇条書きで書く.すべてここまでの本文中で詳しく説明されていることでなければならない.
6.今後の課題
将来,同様なテーマで後輩が研究する場合があるので,やり残したことや提案を将来に向けて書く.
謝 辞:
指導教員や,研究上お世話になった方々への感謝の言葉を述べる.
引用文献
通常の科学論文では,「参考文献」のようなあいまいな書き方はしない.文献リストに掲載された論文は,必ず本文中で引用するのが原則である.
「研究目的」のところでも述べたが,文献リストの書式にはさまざまな方法がある.
筆頭著者の姓のアルファベット順に書き下す書式の場合は,以下の形式で書く.インデントの付け方に注意(同じ論文の2行目以下の行の始まりを少し下げる).同じ筆頭著者が続く場合は,単著のものを先に年代順に挙げ,次に複数著者のものを年代順に並べる.雑誌論文や単行本の一部の場合はページ数範囲を書くが,単行本や冊子をまるごと引用する場合は総ページ数を「××p.」のように書き,発行元を挙げる.
なお,本文中では「小山ほか」のように筆頭著者以外の著者名を省略するのが普通であるが,引用文献リストでは原則として全ての著者名を挙げる.
(引用文献リスト書式の一例)
小山真人(1997):ヨーロッパ火山紀行.筑摩書房,205p.
小山真人(2000):史料にもとづく富士山の火山活動史と災害予測.月刊地球,22,558-563.
Koyama, M. and Kitazato, H. (1989): Paleomagnetic evidence for Pleistocene clockwise rotation in the Oiso Hills: A possible record of interaction between the Philippine Sea plate and northeast Japan. In Hillhouse, J. W. ed. Deep Structure and Past Kinematics of Accreted Terranes, Geophys. Monogr., 50, American Geophysical Union, Washington, 249-265.
小山真人・山岡耕春・早川由紀夫・白尾元理(1991):1991年雲仙火山噴火の潮汐依存とそのメカニズム.日本火山学会1991年度秋季大会予稿集,29
Koyama, M. and Umino, S. (1991): Why does the Higashi-Izu monogenetic volcano group exist in the Izu Peninsula?: Relationships between late Quaternary volcanism and tectonics on the northern tip of the Izu-Bonin arc. J. Phys. Earth, 39, 391-420.
Koyama, Masato, Stanley M. Cisowski, and James B. Gill (1992): Paleomagnetic estimate of emplacement mechanisms of deep basaltic volcaniclastic rocks in the Sumisu Rift, Izu-Bonin arc. Proc. ODP, Scientific Results, 126, College Station, Texas (Ocean Drilling Program), pp.371-379.
小山真人・白尾元理(1995):教材としての惑星画像の利用法—月面写真をもちいた学生実習ガイド—.惑星火山学入門(藤井直之・白尾元理・小森長生編),日本火山学会月・惑星火山ワーキンググループ,151-166.
このほか,()をつけた通し番号で引用文献をつける形式もある.通し番号は,出てくる順番だけでなく,掲載年代順や,著者の姓のアルファベット順にする場合もある.
どのような引用形式をとるかは,必ず指導教員に尋ねた上で,執筆を始めること.
付図または付表
分量の多いもの(測定の生データやプログラムコードなど)については付図あるいは付表として論文の最後に一括する(複数ある場合は番号をふる).(9ページも参照)